麻布十番 たぬき煎餅
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麻布十番商店街振興組合
たぬき煎餅 販売店 日本橋高島屋/地下1階食品売場 渋谷東急東横店/東横のれん街
日永清著『他を抜く! 老舗の意地っ張り商い道』(家の光協会)紹介ページ
ま え が き
日永清著『他を抜く! 老舗の意地っ張り商い道』(家の光協会)

「他抜きして とぼけて 間抜けて おもしろおかしく 世を円(まる)く」 これも処世の一つでしょうな。 「狸は化ける、化かす」などと、昔から言われています。人里近くに住む習性から、昔話にも多く登場する馴染みの深い動物ですが、化け狸はいただけませんな。

 私は、父・圓蔵が創業した「たぬき煎餅」の屋号につきまして、子どもの頃から不思議に思っておりました。「文福茶釜」の狸には愛嬌がありますが、「かちかち山」の狸などは完全に悪者です。私はあるとき、亡き父に尋ねました。「なぜ、『たぬき煎餅』などという屋号をつけたのか」と。すると、父は次のように答えてくれたのです。

 「たぬき煎餅」のたぬき≠ノは、「狸」と「他抜き」の二つの意味をかけてあるんだぞ。「狸」は、お客様への思いと己への戒めを込めて。「狸は化かすぞ!化かされぬようによく見定めてからお買い上げください」という、つねにお客様から厳しく吟味していただくことで、おのずと我が襟が正され、真面目な商売ができるように、と考えた。お客様に厳しく育てていただきながら、信用をつけていくことを自らに課したのである。そして、お客様から愛されよ、と。
 一方、「他抜き」は、他よりも一歩抜きん出た煎餅をつくれという思いを込めている。「すばらしい食材を手間ひま惜しまず、一枚一枚精魂込めて品づくりに努めよ!」ということだ。そんな職人、商人たれという思いなんだ。

 振り返りますと、「たぬき煎餅」の歴史は波瀾万丈で、苦悩の繰り返しでした。しかし、どのような環境にあっても、たぬき≠ノ込められた父の姿勢が揺らぐことはありませんでした。父も私も、つねに前向きに歩んでまいりました。
「たぬき煎餅」が今日ございますのは、その培ってきた努力の結晶と多くのお客様の口伝えのお陰によります。最近では、ようやく企業としての型が整いつつあるように思っております。
 亡き父はこの「狸」と「他抜き」の訓戒を、自らの厳しい背中で見せ続けることで、私に伝授しました。体を張った父の思いは、私の体の隅々まで浸透しています。現在、社長を務めております息子・治樹も、私の背中を見て育ちました。私も自らに課した厳しい姿勢を見せることで、父から伝授されたことをすべて治樹に伝授したつもりでおります。

 治樹には、二男二女の四人の子どもがおります。まだ乳飲み子の末の子も、あとの三人の孫たちも、従業員と一緒に、祀ってある「お狸さん」に向かって毎朝、柏手を打ち、拝みます。「たぬき煎餅」の朝は、「お狸さん」に柏手を打ち、拝む儀式から始まります。
 近頃では、小学校一年生となった七歳の孫(長男)が、「僕が四代目。このおせんべいは美味しいよ!」とお客様に声をかけ、試食をお勧めするようになりました。私にとりましては、至上の喜びであり、何よりの安らぎとなっています。
 ささやかな煎餅屋でございますが、どうか、皆様のさらなるご愛顧、ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげ、「まえがき」といたします。

 二〇〇五年満開の桜を仰ぎ見て

日 永 清


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